TPP協定文の分析レポート アジア太平洋資料センター「PARC」より
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┃内田聖子のTPP交渉ウォッチ!vol.12
┃「TPP協定署名」―新たな闘いのスタート―
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2015年10月の大筋合意後、条文案の公開を経て2016年2月4日、
ニュージーランドにてTPP協定の署名式が行なわれた。
参加国閣僚が出席する中、日本からは現金授受問題で辞任した
甘利明経済再生担当相の代わりに、高鳥修一内閣府副大臣が参加した。
甘利氏の後任・石原伸晃氏も高鳥氏も2年前までは「TPP断固反対」を
掲げていたにもかかわらず、である。
署名式の前からニュージーランドには現地の団体・個人はじめ 米国や
オーストラリアなど各国の市民団体が入り、署名式の行なわれた
ホテル前で大規模な抗議デモを行なった。
先住民族マオリの人びとも参加しながら、「TPP署名は許されない!」と
訴えるデモは最大で2万人規模となった。
5年以上にわたる交渉の結果至った署名は、各国の人びとの反対や
懸念の声を無視する形で無理やり作られたものと言える。
どの国でも正確でフェアな影響評価や詳しい説明責任を求める声は
さらに高まっている。そんな中で署名だけが進んでしまったわけだが、
今後は否応なく、各国内での批准手続きというプロセスに入っていかざるを
得ない。ニュージーランドでのデモに呼応する形で、
各国市民は「新たな闘いの始まり」を宣言した。
日本では今国会での 批准審議が予定されている。しかし米国では
少なくとも11月の大統領選挙後にならなければ議会にTPP協定が
諮られる目処は立っていない。国会での十分な議論が必要であることは
言うまでもないが、急ぐ必要のない批准を早々に済ませたいと渇望する
安倍政権の姿は、世界の目から見れば異常である
(さらに言えば中身の議論もないまま対策予算だけを通してしまった
国など他にはない)。
TPPの中身はもちろんのこと、私たちはこの非民主的な手続き自体に
対しても強く批判していかなければならない。
「国会軽視」は他のどのイシューにも共通する問題だからだ。
改めて、TPP批准阻止に向けて、多くの方々にもっと関心を持っていただき、
様々な行動や発信をご一緒したいと強く 願います。
TPP協定文の分析レポート
★ダウンロードページ★
http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpptext201601.html
本報告書はご自由にダウンロード・コピーいただいて結構です。
一部コピー
はじめに
昨年10月に「大筋合意」をし、11 月5 日に暫定協定文案が公開されたTPP協定。
今年に入り日本政府は暫定仮訳を公開しましたが、そもそも協定文は本文と付属書だけでも5500ページを超える膨大な量であり、また付属書や二国間交換文書など関連文書すべてが公開・翻訳されているわけではありません。
TPPの全体像を十分に把握し、私たちの暮らしや日本社会にとっての問題や懸念を精査することはまだまだ時間がかかるといえます。
米国はじめ各国でも、協定文の公開以降、国会議員や市民団体が分析と問題提起を続けています。 TPPは農産品の関税だけの問題でなく、投資や金融、食の安全基準や食品表示、サービス貿易全般も含んでおり、さらには国有企業や電子商取引などこれまで貿易協定になかった分野もカヴァーする実に多岐にわたる内容です。
2016年1月から始まった今国会でもTPP協定の批准や関連法案の審議がなされるといわれています。
十分な情報公開と議論、専門家・各自治体による詳細な影響評価もなされないまま「批准ありき」で審議が進むことは絶対に避けなければなりません。
こうした問題意識から、私たちTPPに強い懸念を持つ市民団体・農業団体・労働組合などは英文テキストが公開された11 月5 日以降、「TPPテキスト分析チーム」を立ち上げ調査・分析を進めてまいりました。
このたび第一次報告書を完成させ、多くの方々と問題を共有し、幅広い議論を起こしたいと一同願っております。 ※本報告書は今後も随時改定していく予定です
2016年1月20日
TPPテキスト分析チーム
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